制作者物語
家族のランドセル
河本商店のランドセルは、『家族のランドセル』です。
ランドセル作りのきっかけは、娘からの突然の相談でした。
「お父さん…ランドセルって作れる?」
私は、これまでランドセルを作ったことがなかったので戸惑いました。
すると隣にいた孫から
「おじいちゃんの作ったランドセルがほしい」
背中を押されたような気がしました。新しいことにチャレンジしなくなった自分に気づかされたのです。
「よし!はじめるか」
これまでのかばん職人としての経験を活かし挑戦してみよう。何かが、胸に灯りました。
![ランドセル金具](/assets/img/kg1.jpg)
まずは素材を集めなければなりません。 ランドセルは特殊な金具が必要です。 昔なじみの金具屋さんに相談しました。 しかし相談した金具屋さんから、金具づくりには金型を作る必要があると言われます。 金型は50万円と高価でとても手が出ません。
悩んでいると娘婿が、声をかけてくれました。
「お父さんどうされましたか?」
私が、経緯を話すと
「なるほど…僕も少し探してみますね。」
そんなやり取りの後、方々調べてなんと金具を手に入れてきてくれたのです。
素材の一つである革を選ぶ際、私は耐久性のある牛革を選びました。 兵庫県でなめされた『顔料染めの本牛革』です。 顔料で染められた本牛革は、丈夫で色落ちに強いです。 6年間、きちんと役目をはたしてくれるでしょう。 耐久性が高いとはいえ、革はいきものです。 表面の手入れをする際に、孫から学校の話を聞く予定です。
![型紙作り](/assets/img/ktk1.jpg)
子供の使っていたランドセルを見ながら、型紙作りを始めます。
ボロボロのランドセルを見ていると、思い出がとめどなくあふれ、あっというまに時間がすぎました。
![牛革裁断機](/assets/img/ktk2.jpg)
牛革を裁断機にかけます。
油圧式のクリッカー(プレス機)を使い、鋼鉄製の型で革を切ります。
型で打ち抜くことにより、丈夫な革もきれいに切断できます。
![革漉き機](/assets/img/mck2.jpg)
長年使用してきた革漉き機を使用します。
革を加工しやすく、仕上がりも美しくする工程です。
革の厚みを長年の経験で、調整していきます。
![工業用クラッチミシン](/assets/img/mck1.jpg)
縫製に進みます。
何十年と一緒に働いてきたミシンで、革を縫い合わせていきます。
年代物ではありますが大事な相棒です。
工業用のクラッチミシンは、馬力がありどんな固い生地もぐんぐん縫い進みます。
![孫](/assets/img/mr3.jpg)
あれやこれやと試行錯誤する中、ランドセルが完成しました。
孫は、ベージュがお気に入りのようです。
これから一緒に学校に通ってくれるのですね。
![ランドセル](/assets/img/rds1.jpg)
ランドセル作りに没頭する中で、改良に改良を重ねた結果、納得のランドセルが出来上がりました。
![ランドセル](/assets/img/rds2.jpg)
ボディはすべて耐久性の高い
『兵庫県製の顔料染め本牛革』
裏地は丈夫で上品な
『日本製の綿オックス』
背中に当たる部分は汚れに強くやわらかい
『日本製の発泡PVC加工ナイロン』
![ランドセル](/assets/img/rds3.jpg)
体にあたる部分は厚みがあり、衝撃をやさしく吸収してくれる『ウレタン』
ベルトは人の体に合わせた『曲線』
かぶせを閉める金具は『ワンタッチ式クロムメッキ金具』
どこに出しても恥ずかしくない、とても良いランドセルができたと思います。
![ランドセル 孫](/assets/img/mr4.jpg)
ランドセルの贈り物を、孫はとても喜んでくれました。
娘とは、離れた場所で生活しています。
たまに見る家族の笑顔が、とても嬉しかったです。
今回の経験で得た新たな技術を、多くの方に喜んでいただけるよう活かしたいと感じました。
小学校新一年生に贈る、世界で一つだけの
『家族のランドセル』
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どのようなご要望にも誠心誠意お答えします。
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